Q.収支計算書の作成等について、注意すべきことを教えてください
A.作成した収支計算書については次のような点に注意してください
1. 収支計算の意味
収支計算書はいうまでもなく法人の一年間の収入と支出を表したものです。したがって今年度の収支差額がプラス(収入>支
出)となっているのが望ましいのはいうまでもありませんが、その内容に注意してください。
なぜなら、当期に多額の借入金収入によって、収入がプラスとなっているようなケースでは、むしろ法人の財務内容は悪化して
いるようなケースも考えられます。
経常収支、資産収支、財務収支のバランスがどうなっているか、将来の修繕費に備えた積立金支出の計上の有無など、総合的に
その内容を見る必要があります。
2. 予算対比
収支計算書は本来、予算との対比を図る必要があります。法人の状況に照らして予算の策定を行っているはずです。その予算の
範囲内で、執行を行うのが代表役員の責任ともいえます。したがって、予算と実績の比較は必ず行うようにしてください。
3. 将来のリスク管理
先の1で記載した通り、将来の本堂建替えや多額の修繕費の発生、住職の退職金支出など、ざっくりでも金額や支出時期がわかっ
ている場合について、現在の一般会計より毎年一定額を特別会計に「支出」するなどをして、積上げていくのが良いと考えます。
収支計算書において、このような処理を行うことで、将来のキャシュフローについても「見える化」することができます。
4. 損益計算書(正味財産計算書)の作成
収支計算書は収支の内容を明らかにする計算書類ですので、おのずとその限界があります。収支を伴わない、法人の取引内容が
明確とならないことです。例えば、次のような取引は収支計算書ではその内容を明らかにすることができません。
① 現物寄付があった(100万円相当の自動車の寄付をうけた)
②資産(建物)が災害などで被災をうけて、滅失した
③減価償却費のよる資産の減価の認識
これらを含めて、法人経営を考える必要がありますので、できれば損益計算書の作成も行い、収支計算書を併せて判断を行うよ
うにしてください。