宗教法人の運営機関として宗教法人法上は次のように定められています。宗教法人の運営及び管理は、次の諸機関を中心として、法令及び「規則」、包括宗教団体の規程、宗教上の規約・規律・慣習・伝統に従ってなされることとなります(法18条5項)。
<代表役員>
代表役員は、宗教法人を代表し、その事務を総理し、責任役員の互選により、責任役員から選ばれます(法18条1~3項)。
つまり、代表役員は、宗教法人の必要的な常置の代表・執行機関とされています。
<責任役員>
責任役員は、宗教法人において「規則」の定めるところによりその事務を決定するものであり、宗教法人にあっては3人以上の責任役員を置かなければならないものとされています(法18条1項、4項)。
つまり、責任役員は、宗教法人の必要的な常置の意思決定機関とされています。
そして、責任役員は通常「責任役員会」を構成し、同会において宗教法人の重要な意思が決定されることとなります。
なお、宗教法人の事務は、「規則」に別段の定めがなければ、責任役員の定数の過半数で決し、その責任役員の議決権は各々平等とされています(法19条)。
<代務者>
代務者は、代表役員や責任役員が死亡し、すみやかに後任者を選ぶことができないとき等の代行機関であり(法20条)、代表役員代務者と責任役員代務者があります。
<仮代表役員、仮責任役員>
これは、代表役員や責任役員と宗教法人と利益が相反するときに、代表権や議決権が制限される場合の制度です(法21条)。
<監査機関>
宗教法人法上に規定のない任意的な監査機関として「監事」を設けることがあり、会計監査や事務監査を行うことがあります。
<総代、総代会>
単位宗教法人においては、宗教法人法上は規定のない任意的機関として、氏子や檀家等の信者の代表である「総代」及びこの総代の集まりである「総代会」が多くみられます。
この「総代会」は、旧宗教団体法時代に存した制度であり、宗教団体の運営上の一種の補助機関とされていたようです。
しかし、現行宗教法人法上は、あくまでも任意的機関であり、「規則」において定めたときは、宗教法人の重要な事項につき総代会の同意を必要としていることがあります。