Q.宗教法人に対する遺贈があった場合に、租税措置法40条の適用がない場合はみなし譲渡の課税が生じますが、誰が申告と納税を行うのでしょうか?
A.法人に対する遺贈が時価で譲渡したものとみなされる結果、遺贈財産に含み益があれば、遺贈者は譲渡所得の申告が必要となり
ます(所法59①一)。遺贈者の死亡により遺言の効果が生じますから、遺贈者の相続人は相続開始を知った日の翌日から四ヶ月以
内に準確定申告を行い(所法124)、納税義務を負わなければなりません。(通法5)。
宗教法人に対する遺贈が特定遺贈(特定の土地など遺贈する財産を指定するケース)であれば、特定遺贈の受遺者(宗教法人)
は遺贈者の準確定申告に関しては、申告義務も納税義務も負いません。(注1)この場合は、相続人が申告義務と納税を行うことに
なります。
このようなケースでは、対象(贈与)財産は宗教法人が取得し、相続人が譲渡所得の納税を行うといった不公平が生じることに
なります。相続人から遺留分請求が行われることも考えておく必要もあります。
宗教法人に特定遺贈する場合には、準確定申告における譲渡所得の税金相当額を受遺者である宗教法人に負担させるよう負担付
遺贈を行うような遺言の作成を行うなども事前に検討することも必要となります。
(注1)第二次納税義務を負担することはあります。(国徴法39)