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QA13.包括遺贈と特定遺贈

遺贈には「包括遺贈」と「特定遺贈」の2種類あります。

「包括遺贈」とは、例えば全財産の全部や50%を誰にと言うように、渡す財産を具体的に指定せずに割合を指定して遺贈する方法

です。一方、「特定遺贈」とは、例えば自宅不動産は誰に、現金1000万円は誰にと、誰になにを遺贈するかを指定する方法です。

この2種類の方法は、遺言書を書く人が自由に決めることができます。

 

 包括遺贈の際注意しなければならないのは、プラスの財産以外にも、借入金の返済義務や保証債務も同時に引きつぐことになり

ます。したがって、包括遺贈の受遺者は慎重に判断することが必要になります。

 以下に、包括遺贈と特定遺贈をまとめました。

 宗教法人が遺贈をうけた際に、包括遺贈と特定遺贈かによって対応もかわりますので、ご注意ください。

 

包括遺贈特定遺贈
定義

財産を指定せずに財産の全部または一定の割合を決めて遺贈すること。

財産の範囲が明確に特定されていないため、積極財産だけでなく、負の財産(借金や債務)も含まれるのが特徴です。

財産を具体的に指定して遺贈すること。

遺言に書かれた財産のみが受遺者へ渡り、それ以外の財産は相続人が法定相続分に従って引き継ぐことになります。
遺産分割協議

実包括遺贈は、遺言者の死亡と同時に効力を発生し、包括受遺者は相続人と同様に、遺産の割合に応じた権利義務を承継します(民法第896条)。

包括受遺者が取得する財産の範囲は、特定遺贈とは異なり、遺産分割協議を経ることで最終的に確定されます。
受遺者は遺産分割協議に参加することはありません。
相続放棄

・包括遺贈の場合は、財産だけでなく負債も含まれるため、受遺者が負債を引き継ぎたくない場合は、相続開始を知った日から及び包括遺贈の存在を知ったときか、3カ月以内に家庭裁判所に遺贈放棄の申述をする必要があります。

・この期限を過ぎると、負債を含めた全ての財産を受け入れたとみなされるため、包括遺贈を受けた場合は早めに財産の状況を確認することが重要です

・受遺者が遺贈を放棄する場合、家庭裁判所での手続きは不要で、遺言執行者や相続人に対して放棄の意思を伝えるだけで放棄が成立します。

・特定遺贈の放棄には期限がなく、遺言者の死亡後いつでも放棄することができます。ただし、相続税の申告期限(10カ月以内)があるため、税務上の問題を避けるためにも早めの決断が望ましいでしょう。
不動産取得税受遺者は相続人と同じ扱いとなるため、不動産取得税は非課税となります。

受遺者が相続人であれば不動産取得税は非課税となりますが、受遺者が相続人以外であれば、不動産取得税が課税されます。

これは、特定遺贈が相続ではなく贈与に近い性質を持つと考えられているためです。

遺言者の選択

・遺言作成時に相続までの財産構成の変動が見込まれるようなケース。

・遺産分割を受遺者と相続人で話しあって決めてほしいと考えるケース。

・受遺者と相続人の関係が良好な場合など。

・特定の財産を遺贈したい場合など、遺言者の意思を具体的に反映させたい。

・財産のみの引継ぎをおこなわせたいケースなど。

留意点

・有効な遺言書の作成

・遺留分の侵害に留意する

・相続税の負担