税理士法人はるか

QA16.みなし譲渡税(所得税)の趣旨

A.税法において、個人の「所得税」、個人の「相続税」、法人の「法人税」を峻別していることが、みなし譲渡税の前提となって

います。

 個人が不動産等の贈与を行った場合の税制は次のような扱いとなっています。

 

<個人が不動産等を売却した場合の税金>

 個人が不動産等を売却した場合は、その譲渡所得(売却することによって得られる利益、キャピタルゲイン)に対して課税(所

得税課税)が発生します。もちろん譲渡損失の場合には課税はありません。

 

<個人が不動産等を個人に贈与した場合>

 この場合は譲渡所得が発生しませんので、課税されません。ただし、受贈者である個人に贈与税(相続税)が課税されます。

 また、この場合、受贈者である個人は贈与者の取得日、取得価額の引継ぎを行います。受贈者である個人が、その不動産等を売

却した際にその譲渡所得(売却することによって得られら利益)に対して課税(所得税)が発生します。

 

<個人が不動産等を法人に贈与した場合>

 この場合はいっけん譲渡所得が発生しませんが、個人が法人に対して無償もしくは著しく低い価額で資産を譲渡した場合につい

ては、時価で譲渡したものとみなして課税する税制上の規定があります。これが、「みなし譲渡課税」といわれるものです。

 個人から個人に無償で資産移転があったとしても、資産の取得時期、取得価額の引継ぎがありますから、最後の個人が「売却」

した場合にキャピタルゲインに対する課税(所得税)があり課税関係が終了します。一方、相手が法人に対して無償で贈与(寄

付)を行った場合に、この段階で課税しないと「所得税」として永久に課税が行われないことになります。

 すなわち、所得税として完結させるために、みなし譲渡課税が行われるものです。

 

 このみなし譲渡の対象となる税目は所得税以外にも消費税があります。