宗教法人の会計Q&A
QA6.宗教法人の会計基準の示す計算書類(収支計算書、正味財産増減計算書、貸借対照表、財産目録)
についてその内容を教えてください。
① 収支計算書
収支計算書とは、宗教法人の一会計年度の収入と支出の内容を明らかにする書類で、資金の収支の記録を集計し会計年度毎に決算して作成される。宗教法人の当年度の収入、支出の合計額と収支の差額を算出し、次年度への繰越額を計算する方法で行われる。
収支計算書の表示方法としては、収支の予算額と決算額を対比させて 表示するものとされている。決算に基づいて作成された収支計算書は、宗教活動の結果を金銭的に表示し、将来の活動計画と予算の作成に 資するものである。
② 正味財産増減計算書
正味財産増減計算書は、企業会計の損益計算書に該当するもの書類で、宗教法人の正味財産の増減を明らかにする書類です。正味財産とは企業会計でいうと自己資本に相当するものです。
正味財産増減計算書の作成方法は、いわゆるストック式とフロー式がある。ストック式とは①収支計算書の差額をスタートとして、非資金の増減差額を示して、当期の増減額を現したものです。フロー式とは、いわゆる企業会計の損益計算書のように増加要因(主に収入)、減少要因(主に経費)を記載して現したものです。
宗教法人は「利益」追及法人ではないということから、宗教法人法では作成を要請されていないが、「宗教法人の会計指針」では作成すべき計算書類に位置づけられている。
また、宗教法人が収益事業をおこなっている場合は、収益事業を区分経理した正味財産増減計算書の提出が求められている。
③ 貸借対照表
決算時点での資産、負債及び正味財産の状況を示す書類です。資産については、特別財産、基本財産、普通財産(固定資産、流動資産)に区分し、負債については固定負債、流動負債に区分して表示します。
原則として取得価額をベースに計上しますが、宝物などの特有の資産で、評価額などを付すことが適当でない場合は価額を付さないこともできます。
負債については網羅性に留意しなければならない。
総資産から総負債を控除した額が正味財産である。
④ 財産目録
財産目録は、宗教法人が会計年度末におけるすべての資産と負債の内容を 名称、数量、価額などを一覧表にしたもので、宗教法人の財産状態を明らかにしたものである。
宝物などの特有の財産で価額が付されない資産についても名称、数量などを記載すべきものとされている。
財産目録は、宗教法人法でも作成が義務づけられている書類で、宗教法人の設立時に作成し、さらに毎会計年度終了後 3ヶ月以内に作成した上で事務所に備え付けることとされている。