宗教法人の会計Q&A
QA21.宗教法人の会計の特徴
宗教法人の会計については、宗教法人法上は小規模法人にも鑑み、作成すべき計算書類として、財産目録と収支計算書
をあげ、貸借対照表については作成している場合には備えつけるようにと定めています。また、収支計算書についても、
収益事業(公益事業以外の事業)を行っていない場合で、収入金額が年8,000万円以内であれば作成を免除しています。
このように、宗教法人の会計の制度的な特徴としては、宗教法人が収益事業を行っているかどうか、及び収入規模等で
区分して作成すべき計算書類を分けています。
(収益事業を営まない小規模法人)
必ずしも複式簿記を前提とせず、その財産、債務を整理して、決算時点の財産目録を作成しておけば法律上の要件は
満たすことになります。したがって、このような法人は比較的簡便な処理で会計処理をすますことが可能です。
(収益事業を営まない大規模法人)
収益事業を営まない宗教法人であっても、収入額が年間8,000万円を超える法人は、収支計算書の作成を義務付けられ
ています。
収入額が年間8,000万円を超えるぐらいの法人となりますと、複式簿記による「継続記録」を行わないと処理は不可能と
言えます。収支計算書のみの作成を目的とした場合、複式簿記で処理をしたとしても、「資金」の残高しか導き出せません
から、貸借対照表の作成はできないことになります。
大規模法人となりますと、収支計算書だけでなく貸借対照表まで含めた計算書類の作成が望ましいと言えます。
したがって、収支科目以外の財産、負債の科目についても増減を仕訳で処理していくことになります。
(収益事業を営む法人)
収益事業については、法人税の申告が求められますので、損益会計処理を行う必要があります。
また、税務署には貸借対照表の提出も要請されています。この法人については、収益事業と非収益事業を峻別して計算する
ことが要請されていますので「区分」経理を行う必要があります。
ある意味、一般の企業会計以上の複雑な処理レベルと言ってよいでしょう。