宗教法人への寄付・相続Q&A
QA8.宗教法人が個人より寄付を受けた場合
Q.宗教法人が個人より寄付を受ける場合の課税について、宗教法人が課税されない場合とは、どういう場合でしょうか?
A.宗教法人が信者等より寄付(喜捨金)をうけるケースというのは、日常的にある行為で、通常は課税の対象外といえます。
ただし、宗教法人の責任役員の親族などより多額の寄付をうけるケースなど、当該贈与(遺贈を含む)により当該贈与をした者の
親族その他これらの者と特別の関係がある者の相続税等の負担が不当に減少する結果となると認められるときは、当該宗教法人を
個人とみなして贈与税(相続税)を課税するとされています。(相続法66条4項)
これは、当該贈与により、贈与者等の税負担が不当に減少する結果となると認められる場合であり、贈与等をうける当該宗教法
人等に財産を提供する者もしくはその特別関係者が当該宗教法人を私的に支配している状況が確認されるときです。
相続税施行令33条③では、下記の4つのすべて要件を満たす場合は、私的な支配が排除されているとし、「不当に減少する結果
とならない」したがって課税がないとしています。
1.その運営組織が適正である(QA9)とともに、その寄附行為、定款又は規則において、その役員等のうち親族関係を有する者及
びこれらと次に掲げる特殊の関係がある者(次号において「親族等」という。)の数がそれぞれの役員等の数のうちに占める割合
は、いずれも3分の1以下とする旨の定めがあること。
イ 当該親族関係を有する役員等と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者
ロ 当該親族関係を有する役員等の使用人及び使用人以外の者で当該役員等から受ける金銭その他の財産によつて生計を維持し
ているもの
ハ イ又はロに掲げる者の親族でこれらの者と生計を一にしているもの
ニ 当該親族関係を有する役員等及びイからハまでに掲げる者のほか、次に掲げる法人の法人税法第2条第15号(定義)に規定
する役員((1)及び次条第3項第6号において「会社役員」という。)又は使用人である者
(1)当該親族関係を有する役員等が会社役員となつている他の法人
(2)当該親族関係を有する役員等及びイからハまでに掲げる者並びにこれらの者と法人税法第2条第10号に規定する政令で定
める特殊の関係のある法人を判定の基礎にした場合に同号に規定する同族会社に該当する他の法人
2.当該法人に財産の贈与若しくは遺贈をした者、当該法人の設立者、社員若しくは役員等又はこれらの者の親族等(次項第2号にお
いて「贈与者等」という。)に対し、施設の利用、余裕金の運用、解散した場合における財産の帰属、金銭の貸付け、資産の譲
渡、給与の支給、役員等の選任その他財産の運用及び事業の運営に関して特別の利益を与えないこと。
3.その寄附行為、定款又は規則において、当該法人が解散した場合にその残余財産が国若しくは地方公共団体又は公益社団法人
若しくは公益財団法人その他の公益を目的とする事業を行う法人(持分の定めのないものに限る。)に帰属する旨の定めがある
こと。
4.当該法人につき法令に違反する事実、その帳簿書類に取引の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装して記録又は記載をしている事実
その他公益に反する事実がないこと。